端午の節句に見る色彩

季節の色
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端午ってどういう意味?

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5月のお祝いといえば、端午の節句。

タンゴ?丹後?たんごってどういう意味?

端午の「端」は「初」という意味。
「端午」はその月初めての午の日をさします。

午(ご)から五(ご)と転じ、古代中国では、奇数を重ねると邪気が生まれるとされたことから、邪気払いとして五月五日に無病息災を祈願するお祭りを行うようになったそうです。

菖蒲や蓬は香が強く、薬効に優れたことから、急に暑くなり、体調を崩しやすい五月に、菖蒲酒を飲んだり門戸にかかげて魔除けにするなどし、悪鬼退散、無病息災を祈りました。

平安時代に日本に伝わり、五月の節句に菖蒲による邪気払いが広まっていったとされます。



端午の節句を飾る彩りとして、菖蒲や蓬をイメージする緑、菖蒲の花の紫は欠かせない色ですね。

武者人形でお祝い

菖蒲は「尚武(武道を重んじること)」や「勝負」に通じるとされ
武家に生まれた男の子の成長をお祝いする日となりました。

勝負強い子に育つようにと
武者人形を飾ったり幟を立てたりするようになりました。


端午の節句飾りの兜の黄金色と緑や紫を合わせると、伝統的な端午の節句をイメージさせる色になりますね。

鯉のぼりは立身出世の象徴

一方、江戸時代には町人にも端午の節句の風習が広まりました。

端午の節句飾りといえば、鯉のぼりですよね。

武家で男の子が生まれたら馬印や家紋を染め抜いた幟(のぼり)が立てられるようになり、それをまねた町人の間で生まれたのが、鯉のぼり。

「竜門」という激流を登り切った鯉が竜となって天をかける
という中国の故事(登竜門の語源)から、

男の子の成長と出世を願って鯉のぼりを考案したそうです。

青空を泳ぐ鯉のぼりは、勢いがあって気持ちいいですね。


初期の鯉のぼりは真鯉(黒)でしたが、やがて真鯉(黒)と緋鯉(赤)となり、さらに青鯉も加えて家族を表すようになったとの説があります。

今の鯉のぼりはカラフルで、多様性の時代を象徴するようです。

五色の吹き流しと矢車

鯉の上には、五色の吹き流しがありますが、これは中国の古代思想である「五行思想」に基づいたもので、「この世は木・火・土・金・水の五つの要素からできている」とされ木(青または緑)火(赤)土(黄)金(白)水(黒または紫)を当てることで、世界を表すとされています。

ちなみに、吹き流しの上、鯉のぼりの竿の先についている玉は、神を招く依り代(よりしろ)であり、カラカラと音を立てる矢車は、神様に「ここに男の子がいますよ~」とお知らせする目印ならぬ、音印となっています。

今は、住宅街やマンションでは「音が響く」と鳴らない様に工夫されている方も多いそうですが、それならば色で「ここにいますよ~」とお知らせしたいですね。

時代と共に変化するお祝いの形と色。

でも、そこに変わらずあるのは命を大切に思い、健康を願う心。

伝統の縁起物の色には、こんな意味があることを知ったら、鯉のぼりや兜を飾るのも、より楽しくなるかもしれません。

色にこめる思いは、人それぞれ。
みなさんそれぞれの色で節句のお祝いを楽しんでくださいね。